カトリック入門のススメ
はじめに
私はキリスト教(カトリック)の信徒です。一般的にはクリスチャンと呼ばれるやつです。このサイトはカトリックへの入信をおすすめすることと、もし入信に迷っている人がいたら背中を押したいと思って作りました。
わたし自身の入信のきっかけは人間関係の不和です。関連する色々なことで完全に鬱になりかかっている時に、キリスト教に出会いました。はじめは理論として捉えており、現実の問題に対処できないではないかという嘆きもありました。ところが日を重ね学びを深めていく内に、心の中でキリスト教に根ざしてリズムができることを感じました。
大人は性格が変わることはないといいます。自我は大人になるまで少しずつ形作られていきます。ところがキリスト教は私の歪みきった自我を変えてくれました。小さなことで挫け、場合によっては悪いことを考えてしまう私の心を変えてくれました。
人生では色々とつらいことがあり人生を見失いそうになります。どうでもよくなって自暴自棄になってしまいそうなこともあるでしょう。でも自分の心の中に少しでも善いものを志す気持ちがあれば、あとはその善いものを人生としてうまく取り込んでいくことが大切だと思います。
キリスト教はそうした心の内にある善いものを、光かがやかせてくれます。
このサイトを見てくれた方もこの喜びを共有できたら幸せに思います。
なぜカトリックか
このサイトではキリスト教の教派のうちでも『カトリック』をおすすめしています。特にキリスト教の細部に拘りのない方は以下の理由からカトリックをおすすめします。(他の教派が悪いとは言いません。)
無難
カトリックは全世界に12億人の信徒を有すキリスト教の最大教派です。ローマ教皇を中心として縦割りの組織構造になっており、一般社会の組織構造にとても近いです。もちろん宗教なので偉い・偉くないという差があるわけではありません。巨大な組織体制を維持するために便宜的にそうなっていると考えてよいと思います。
日本にも40万人近くの信徒がいます。神道や創価学会と比べると人数は少ないですが、正統派のキリスト教(異端:ものみの塔・モルモン教・統一教会等)の中では最大です。
人数が大きければそれで善いというわけではありませんが、人数が多いと良い意味で丸くなってきます。例えばカトリックと対としてよく比較されるプロテスタントでも日本基督教団などは大所帯に見えますが、実際には各教派の寄り合いという形式になっておりますので教会ごとに教えが少し変わってきたりします。よく分かってない方がプロテスタントの教会に行った時に、そこが聖霊派(ペンテコステ派)だったりすると中々辛いものがあったりします。異言というものを大事にする教派なのですが、異言というものが分かってないと、独り言を呟いているように見えて、もう二度と行かないということにもなりかねないでしょう。
上記は極端な例ですが、プロテスタントでも長老派やメソジスト派の教会であれば、教会附属幼稚園に代表されるような社会に根ざした教会でもあります。ですが日本のプロテスタントの教会は基本的にその教会だけで社会が閉じられてしまっています。カトリックであれば全国どこの教会に行ってもカトリックの信徒であることに変わりなく、いつも慣れ親しんだ作法で過ごすことができるのですが、プロテスタントの教会ですと完全に別社会から来た人のような扱いになります。旅先や引越し先でも教会に行きたいときは差の少ないカトリック教会だと何事も捗ります。特に教会とは言え人の集まりですのでどうしても揉め事は発生します。その中でもカトリックであれば、その教会が合わなければ近場の他の教会に移りやすいのは大きなメリットになります。
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優しい人が多い
やはり教会という言うのは悩みを抱えてこられる方が多いです。苦労されているからか優しい方が多いです。(もちろんそうあるように神さまは作られたので、それ自体に善悪はありません。)
カトリック教会に通っている人は行ってもらえれば分かりますが、どこにでもいそうな優しそうな方ばかりです。教会というところに通い続ける上でこれは大きなメリットだと思います。
カトリック入信のメリットについて
はじめに申し上げておきますと、キリスト教はご利益宗教ではありませんので、拝んだり献金したりすることで運が良くなるとかそういうことはありません。
その上でカトリックに入信することのメリットを書きたいと思います。
人生を見つめ直すことができる
成人して年月が経っていると人生の方向はある程度見えてしまっていると思います。そんな中で今の自分の人生とはどうなのか、あらためて考え直すことができます。特に大事なのは自分中心に生きており、それであるがゆえに苦しんでいることに気付けるということです。キリスト教の学びは人生を客観視できます。客観視できた人生は生まれ変わりとも言うべき経験になります。
落ち着いて今を生きることができる
上の話に近いですが、私の実体験から言わせるとキリスト教に関わって得た一番良いところは日々を落ち着いて過ごすことができるということです。
仕事や家族との関係で悩むことは変わらずあります。ですが悩みが起きた後も以前のように堂々巡りで悩んでしまうようなことはありません。明日のことを心配するなと聖書に書かれていることを身をもって体感することができるようになります。心配してもしなくても明日というのはそれほど大きく変わらないことが実感できるのです。
健康に良い
キリスト教の教えを知る前まではストレスが溜まると暴飲暴食をしたり、一過性のストレス解消に身を投じてしまうものでした。そういう自分を大事にしないことをしなくなり、健康がよくなったと感じます。頭痛持ちですが以前ほど頭痛を感じることなく過ごせています。
さらにカトリック、特にイエズス会では『霊操』というものを大事にしています。霊操とは瞑想や黙想に近いものと思ってください。(正確には身体の体操の心版、いわば心の体操のようなものです。)
これをすることによって精神の健康も保てます。心がグシャグシャになったときも霊操をすることで自分の本当の気持ちや根本的な問題に気付くことができるようになります。
友だちができる
意外なメリットはここです。社会人になると会社での同僚などの知人は増えると思いますが。どこまでも仕事の利害関係が残ります。教会でできる友達というものは全く利害関係がありません。言ってみれば学生時代の友達と同じように気軽に付き合えます。
ベースにしている信条が一緒です。だからそれほど気が合わない人もいないし、学生カーストのようなものもありません。
趣味などでもつながっていくことができるので、日々の生活が充実します。
休日を自堕落に過ごさなくなる
日曜日は教会に通う日です。(正確には土曜の日没から日曜の日没前まで)
そのため休日にすることがなくてどうしようもない時間を過ごすことがなくなります。教会の知り合いと時間を過ごしたり、学んだり、活動したり、祈ったりすることができます。お金が掛からないのにも関わらずとても有意義な時間を過ごせます。
入信(洗礼)のステップ
いいことだらけの教会生活ですが、そもそもどうやって始めればいいの?少し緊張する、等、不安な気持ちもあるかと思います。私も内向的な人間なので通うまでは大きな抵抗がありました。ですが通ってみると全然そんなことなく気楽な時間が過ごせるかと思います。以下に入信に向けたステップをまとめます。
尚、入信というのは洗礼を受けることを言います。
入門講座に参加
いきなりですが、カトリックはいきなり入信することができません。カトリックとしての素養が身に付いていないのに入信することはできないという決まりがあるためです。まずは入門講座に身を置いてキリスト教、特にカトリックに根ざした学びを経る必要があります。
意外にこの期間が短くはないので途中で脱落してしまう人も多くいます。やはり若かったりして誘惑が多い人生を歩んでいる人は脱落しやすいようですね。でも若いうちは色々経験しておくという意味でもそれはそれで良いのです。いつか戻る人は戻るでしょうから。
なお、その昔は3年ほどの入門期間が必要だったようです。今は最低半年ほどあれば入信できるようになっています。
入門式
洗礼に向けて入門式という式に与る必要があります。洗礼のための門をくぐる儀式ですね。
洗礼志願式
入門式の後に、洗礼志願式という洗礼を受けることを表明する儀式があります。表明すると言っても何かアドリブな発表をする必要はありません。
洗礼
いよいよカトリックのクリスチャンになるための洗礼式です。これは復活徹夜祭の時に行われることが多いです。
まずは入門講座に
以上が入信(洗礼まで)までのステップです。半年以上と考えると長いようでも短いようでもありますね(^^
まずはとにかく入門講座ですね。ここに出なければ始まりません。
東京近辺にお過ごしの方は四ツ谷駅近くにある聖イグナチオ教会の入門講座をおすすめします。たくさん講座があり、自分の都合の良い時間を選ぶことに苦労しないのと、大教会であるため、共に学びの時を過ごす仲間が多いので張り合いがあります。講師陣も大学者先生もおり、とても充実した学びの時を過ごせます。
聖書
入門講座は基本的に聖書から学んでいきます。聖書自体は貸出してもらえるので特に自分で持っていく必要はありませんが。線を引いたりメモをすることを考えると、自分のものを一つは持っていた方が良いですね。
実は聖書にはいくつか種類があります。その中でもカトリックで利用する聖書は『新共同訳聖書』というものです。以下に持ち運びの便利なおすすめの聖書のリンクを記載しておきますので参考にしていただけるとうれしいです。
- 作者: 共同訳聖書実行委員会,日本聖書協会
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カテキズム
またカトリック特有の学びというものもあります。それはカテキズムと呼ばれます。カテキズム自体は入門者が学ぶものではないのですが、以下に概要が書かれた書籍のリンクを貼っておきますので、予習がてら参考にしていただいても良いと思います。
YOUCAT(日本語)――カトリック教会の青年向けカテキズム
- 作者: 日本カトリック司教協議会青少年司牧部門
- 出版社/メーカー: カトリック中央協議会
- 発売日: 2013/06/28
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ミサに行ってみよう
入門講座に参加していれば洗礼までの道は開けてきますが、カトリック教会のミサにも行ってみましょう。ミサというのはプロテスタント教会で言う礼拝のことで、キリスト教の儀式になっています。洗礼を受けていない方もたくさん参加しているので、何も気にせず参加して問題ありませんよ。
ただひとつ洗礼を受けている人ではないとできないことがあって、それが聖体拝領というものです。ホスティアと呼ばれる丸い小さなパンを頂いて食べるという儀式なのですが、これは洗礼を受けている人でないとできません。洗礼を受けていない人は、祝福を頂くことはできますので、聖体拝領の時(儀式の最後の方で皆が並ぶ時)に一緒に並んで司祭の前に頭を少し下げて立つと、祝福を頂くことができます。
ミサに与ると心が改まって、ごちゃごちゃした気持ちがクリアになるので参加をおすすめします。
ロザリオの祈り
参加する教会によってはミサの前にロザリオの祈りを唱えることがあります。教会では先導の方に言われるがままに進めれば良いのですが、家でも祈ることができます。ロザリオの祈りはロザリオを使って祈ります。
ロザリオ自体は市販されていますので教会の売店などでお求めください。念のためオススメをリンクします。
カトリック教会・聖ベネディクトのロザリオ メンズ ブラジル製ハンドメイドのウッドネックレス
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黙想会
カトリックは黙想を大事にします。各地で黙想会というものが開かれており、泊まり込みで修道会で祈りの時を過ごしたりすることができます。慌ただしい日常から完全に離れて丸一日を黙想のときとして過ごすのはとてもリラックスした良い時間となりますよ。
入信した後は
入信した後はどのようにしていくのでしょうか。基本的にはミサに与りつつ、人によっては教会の係をしたりボランティアをしたりします。ここらへんはその人によって大きく変わってくるのですが、祈りを大事にする人なら黙想会に参加されるでしょうし、学びを大事にされる人なら、洗礼を受けた方向けの講座に出たりします。自分自身の特性にあったことを続けていくことができ、そのための舞台が複数用意されているのはカトリックならではの強みの一つですね。
ボランティア(カリタスジャパン)